本人の「こうしてくれたら助かる」に合わせた手立て

息子が不登校になった時、しばらくしてから別室登校をしていました。自分の制服が着られずに、卒業生が残していった保健室用の制服と交換してもらって通っていた時期がありました。また、スクール靴もかばんも規定の物が使えず、事もあろうに他校のマークが入った布のカバンを好んで持ち歩いていました。学校側はそれでもいいと受け入れてくださり、息子は1年ほどで復帰しました。学校によっては退学になるらしいけれど、発達障害や精神障害に理解のある学校だった事に今も心から感謝しています。

『おめめどうの 今日からできる、支援のコツ』

(株)おめめどう 奥平綾子@ハルヤンネkingstone著

自閉症・発達障害の人達の「こうしてくれたら助かる」という生の声を集めた冊子なので、息子に対する理解が深まり、適切な支援につながりました。息子は自分の状態を客観的にみることや言語化して伝える事が苦手なので当事者目線で分かりやすく書かれているこの冊子は、具体性もあり、とても役に立ちました。

シンプルに①「自閉症が持つ特性」➡②「どんな大変さがあるの」➡③「どう考えたらいいのかな」➡④「こうしてくれたら助かる」の4段階で説明されていて分かりやすいです。

例えば

①感覚(五感)が独特である➡

②皆と一緒の行動が難しいことがある➡

③感覚を緩和する、避ける、防ぐ、逃げる方法を身に着ける/ 最初に寄り添う。無理強いしない事で近づいてきてくれるのを待つ➡

④「普通はこうだから」と無理強いしないで欲しい。

・「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「どの位」「終わったら何がある」の6つのキーワードを分かりやすく伝えて欲しい。見通しが無いところでは不安から感覚過敏が過剰になっていくので。【いつどこメモ】【いつどこシート】(考案し販売している)

・感覚を和らげるアイテムを用意して欲しい。耳栓・イアーマフ・布類・雑誌・感覚玩具等。あると安心できる。

・刺激の後、1人で落ち着けるようにして欲しい。「カームダウン」出来るエリアは必須。

・自分で選んだ活動は、モチベーションがあるから楽にでき、頑張る気持ちにもなる。好きな場面で少しずつ慣れさせて欲しい。

他にもコミュニケーションについてのサポートの仕方については

・【巻物カレンダーやスケジュール】などの視覚的支援や場所の「構造化」をたくさん作って欲しい

・本人がしやすい発信手段を作って欲しい(サイン言語・絵カード・絵や文字で書く・会話補助器の使用・デジカメ・チェキ・スマホ・PC・文字盤・テプラ等)

・「要求」「拒否」「注意喚起」はサバイバルのコミュニケーション。最初に丁寧に取り上げて欲しい。「伝わった」という喜びで、また「伝えよう」と思うから。

特に「拒否」はブレーキの役割。踏めば必ず止まる車には安心して乗れる。だから「やめて」と言った時にはやめて欲しい。すると、安心して活動できるし、人とも付き合える。

・日常の暮らしでよく使う言葉は、視覚的なものを使って、どう表現すればいいのかを教えて欲しい。

・おめめどうの支援 5つの基本的な手立て:

①見通し:カレンダーやスケジュールに代表される「見通しのある暮らし」で心を支える

②選ぶ:自立には不可欠の自分の事は「自分で選ぶ暮らし」で責任を支える

③お話し:伝え合おう・分かり合おう「見えるコムがある暮らし」で関係性を支える

④杖の役割:出来るところ、動くところ、強いところ(好きな物)をしっかり支え、「杖の役割」を通して意欲を支える

⑤年齢と性別:本人はその年齢を生きている(生活年齢)本人の性別を大切にして人権尊重する

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